定期的にワイヤーに注油を行えば破断を防止し、スムーズな動きを保つことができる
アクセルやクラッチのワイヤーの注油は日常的に行いたいメンテナンスである。インナーワイヤーとアウターワイヤーは金属同士なので、油分が無いと動きが悪くなるし、摩耗が進む。
使い方がやや難しいワイヤーインジェクター
ワイヤーの注油と言えば「ワイヤーインジェクター」という専用工具が存在するが、これがなかなか難しく、アウターワイヤーの太さが合わなかったり、インナーワイヤーの長さに余裕が無かったり、うまくセットできてもスプレーのオイルが入っているのかいないのか、よくわからない。
ビニール小袋を使えば時間はかかるが確実に注油できる!
そこでお勧めしたいのが、小袋と重力を使った注油方法だ。重力に任せてワイヤー内部にオイルを行き渡らせるので、時間はかかるが確実に注油できる。反対側からオイルが出てくるのを目で見て確認できるし、良いことづくめなのだ。
ビニール小袋式ワイヤー注油手順
重力式注油にはチャック付きの小袋が最適。袋がしっかりしてるので、オイルで満たしても袋自体が変形してオイルをこぼすようなことが無い。袋の角部分をハサミでカットする。
クラッチでもアクセルでも、ワイヤーのハンドル側を外しておく。ワイヤーが入り組んでいる場合は、ワイヤー自体を外して単品にしておくとさらにグリスアップしやすい。
袋をワイヤーの端に通したら、袋とアウターワイヤーをビニールテープでぐるぐる巻きにする。
テープの巻きが甘いとテープの隙間からオイルが漏れてワイヤー内部に入って行かないので要注意。
テープがしっかり巻けたらスプレー式のワイヤーオイルを吹き付けて、袋の中をオイルで満たす。
あとはワイヤーオイルが内部に流れ落ちていくのを待つだけでよい。
ワイヤー注油にフォークオイルを使うのもおすすめ!
フォークオイルのおすすめポイント
粘度が低くて浸透性が高い
砂やほこりなどを寄せ付けにくい
余って持て余していることが多い
ワイヤーオイルが無いならフォークオイルで代用するのもお勧め。粘度の高いオイルはワイヤーに流れ込みにくいし、ほこりや砂を吸着しやすい。
セローのクラッチワイヤーに実際に注油してみた
セローのクラッチワイヤーをグリスアップしてみたのだが、レバー側からフォークオイルを流してみると……
しばらく変化は無いものの……
10分くらいでエンジン側(レリーズ側)に流れ出てきた。これでワイヤー内部の洗浄にもなるし、グリスアップにもなる。
フォークオイルは長持ちしないので、こまめにグリスアップしたい。
最も破断しやすいワイヤーの根本には固形グリスを塗布する
ワイヤーは両端部分が最も切れやすいので、この部分はワイヤーオイルではなくしっかりグリスを塗っておきたい。
ここでメンテしたのは
乗りっぱなしセロー
実走行3万2700kmで定期メンテ無し、タイヤの空気も補充したか、オイルいつ交換したかもわからないほど日常の足として酷使されまくった車両。
いちおうエンジンがかかって異音も無い模様だったので、ひとまず走るのに不安が無いような状態になるようにメンテしてみた。