チェーンとスプロケットは同時交換が基本
もともとの汚い見た目の中でも特にバッチイ印象だったのが、チェーン&スプロケ周りだった。とにかく掃除をしないでチェーンオイルを塗り重ねたような汚れが堆積していた次第である。チェーンの伸びも確認できたのでチェーンとスプロケットを交換することにした。
チェーン交換時はスプロケットも同時交換が原則であり、両方とも新品にしておいた方が結局は長持ちする。スプロケットが偏摩耗している場合は、新品チェーンへの負担が増加するのだ。今回ももちろん前後スプロケ、チェーンの3点同時交換を行った。
交換時はリアホイールを持ち上げたまま維持する必要があるのだが、砂利地でメンテナンススタンドも無く安定させるのは非常に骨が折れた。フロアジャッキを使用し、リアタイヤを持ち上げ、2×4の角材を車体下に積み上げてなんとか作業を実施。しかし、時間経過と共に徐々に地盤沈下して車体は明らかに傾いてきたので、やはり作業する場所というのは非常に重要だと痛感した。
チェーンはシールタイプのかしめ式なので、交換時は専用工具が必要だ。新品チェーンをカットするのにピッタリなコマ数は決まっている。多く切ってしまえばチェーンは張り切れないし、短く切ってしまえばチェーンの遊び不足に陥る可能性が高い。特にファイナルの丁数を変更した場合は、チェーンの丁数も標準とは変わってくるので注意したいものである。
250TRのフレームにはセンタースタンドの受けが用意されており、エストレヤのセンタースタンドを流用できるようだが未確認。そのフレームにフロアジャッキをかけて車体を浮かせることにした。
リアスプロケットの交換
リアホイールを外してリアスプロケットを交換する。交換するのは純正互換のNTB製。ノーブランドの製品は精度が出ておらず、新品状態でチェーンの張りムラが出ることもあるので、純正もしくは高品質な社外品を選ぶのがおすすめ。
歯の状態を比べてみたが、目に見えた摩耗は確認できなかった。取り付け時は必要に応じてナットにネジロックを塗布する。
フロントスプロケット交換
フロントスプロケットカバーを開くと汚れがごっそりと詰まっているのが確認できた。チェーンオイルのベタベタした湿った汚れではなく、乾燥した汚れなのが幸いだった。
マイナスドライバーなどで堆積したあらかたのゴミをこそぎ落としたら、チェーンクリーナーで洗浄する。油汚れにはチェーンクリーナーが効くのだ。パーツクリーナーで落とすのは大変だ!!
かなり綺麗になった。
品質の良いサードパーティー品が見つからなかったのでフロントスプロケットは純正品を使用した。
ボルトはギアを入れた状態で仮締めして、チェーンが繋がった状態で本来の締付けトルクを掛ける。
ドライブチェーンの交換
古いチェーンをカットするのだが、いきなりチェーンツールを使用すると、打ち抜き用のアダプターを傷める恐れがあるので、グラインダーでリベットの頭を削り落としておくと良い。
チェーンのカット&かしめ作業には、専用の工具が必要になる。ストレートのチェーンカッターセットDIY用は、420~428サイズが推奨されているが、グラインダーを使用することで520にも使用可能。ライトユーザーにピッタリのコストパフォーマンス溢れる工具だ!!
チェーンツールを使用してリンクピンを打ち抜き、チェーンをカットする。ピンの頭を削り落としてあったとしても、抜き取りにはかなりの力が必要になってくるので、工具への負担も少なくない。
メッキチェーンは錆びにくく、ロングライフが期待できるが、今回はコスパを優先し、スチールタイプをチョイス。しっかり手入れを欠かさなければ、ライフも充分に期待できる。QXリング採用でフリクションも少なく、交換時からスムーズな動きが確認できた。
新しいチェーンを通したら、リアタイヤを最も前に寄せた状態、つまりチェーンが最もたるんだ状態でチェーンの余分をカットする。チェーンをカットできる場所は必ず1箇所。ジョイントで両端を繋ぐことができるようにカットする。
新しいチェーンをセットして、ジョイントを仮組みする。チェーンジョイントはまずプレートを圧入する作業からはじめる。圧入しすぎるとリンクの動きが悪くなるので、注意したい。
ジョイントのプレートが他のプレートの高さと同一になったところで、圧入は完了。
次にピン端部を広げてプレートが外れないようにかしめる。広げすぎるとクラックが入るので注意したい。