クラッチレバーの操作が重いと上手に走ることができない!だからグリスアップだ!
バイクでスムーズに走るには繊細なクラッチ操作は欠かせない。クラッチレバーの操作が重くて渋滞時に辛い思いをした方も多いかもしれないが、クラッチレバーの重さの原因は様々存在する。
クラッチハブの摩耗でクラッチプレートがスムーズに動かなくなることもあるし、レリーズやワイヤーの動きが悪化していることも考えられる。そして、灯台下暗しな原因がレバーの潤滑不良だ。
クラッチはブレーキに比べてレバーストロークが大きいし、使用頻度も多い。そのため、グリスアップを欠かさないようにしたい。
クラッチレバーをグリスアップする際は、クラッチワイヤーのインナーの状態をよく確認したい。
クラッチワイヤーはレバー側の端のタイコ付近で破断することが多い。レバー脱着時にインナーワイヤーを確認してみてワイヤーがほつれていたり、摩耗でテカテカしているような時は、早めにワイヤー交換をお勧めしたい。
乗りっぱなしでメンテしていなかったセローのクラッチレバーを外してグリスアップしてみたが、転倒してレバーが曲がっていたし、レバー自体の摩耗が発生していた。今回は交換用レバーを用意していなかったので、そのまま再使用したが、例え折れていなくとも交換したい状態であった。
良く、曲がったままのレバーが操作しやすいからそのままにしているとおっしゃる方がいるが、やっぱり曲がっていないレバーの方が操作性は上だと思う。
クラッチレバーの脱着時にはワイヤーの張りを緩める必要があるので、作業終了後はワイヤーの遊び調整がマストとなる。
ちなみに「なんだか最近クラッチの遊びが増えてきたなあ」と感じることがあったらすぐにワイヤーのコンディションを確認したい。ワイヤーがほつれて切れる寸前かもしれない……。
私は以前雑誌編集部に在籍していた当時、締め切り中のこと。家から50キロくらい離れた深夜の渋谷でクラッチワイヤーが切れたことがありました。その時は即、首都高に乗ってほぼノンストップで帰ることができたので、何とか生還できましたが、その日の通勤時に急にクラッチの遊びが多いと感じて調整したばかりだったのです。
クラッチ無しでどうやって走行したのかは、また別の機会に書き記したいと思います。
クラッチレバーの脱着とグリスアップ手順
クラッチワイヤー内にゴミが侵入するのを防ぐゴムカバーをずらす。
レバー側のアジャスターを締めこんで、遊びが最も多い状態にしておく。アジャスターを締め込む=アウターワイヤーが最も短くなっている状態。
レバーの切り欠き、レバーホルダーの切り欠き、アジャスターの切り欠き、アジャスターロックナットの切り欠き、そのすべてを一直線にしておく。
レバー側のアジャスターでは余裕が足りない場合は、ワイヤーの中ほどにある遊び調整部か、レリーズ側の遊び調整部で余裕を出す。
考え方として、アウターワイヤーが短くなれば、それによってインナーワイヤーに余裕が出る。
レバーのピボットボルトは、上からボルトで下からナットで締められていることがほとんどである。セローのクラッチレバーもこの方式だった。
ピボットボルトがスムーズに抜けてこない時は、ねじ山の無いカラーの部分の端が変形していることがある。セローのボルトは変形は無いものの、油分はほとんど無かった。
レバーの根元部、レバーホルダーと擦れ合う部分に摺動傷がかなりあった。まめなグリスアップである程度防げた摩耗である。
インナーワイヤーの端部はやや摩耗があったもののほつれは無かった。インナーワイヤーが変に折れ曲がっていたら交換を検討したい。
ピボットボルトが通る穴部分に真鍮カラーが入っていることも多いが、セローのレバーはアルミの直受けだったので、摩耗しやすい。
レバーは微妙に曲がっていた。ガスバーナーであぶって曲げなおせば直るかもしれないが、それだけ手間をかけるなら新品交換した方が良いかも。
レバーホルダーのアジャストボルトは、インナーワイヤーと直接擦れ合う部分なので、良く洗浄しておく。
一旦取り外し、パーツクリーナーで洗浄してからフレッシュなグリスを溝に詰めておいた。
インナーワイヤーのタイコ付近は破断しやすい箇所なので、しっかりグリスアップしておく。
レバーのタイコがはまる部分もしっかり洗浄し、グリスアップしておく。
レバーとピボットボルトをセットしてみて引っ掛かりがあったり、ガタが過大なら交換したい。
レバーホルダーもしっかり洗浄し、グリスアップする。
分解時とは逆手順で組み立てる。クラッチスイッチの突起を引っ掛けて折ってしまうことがあるので注意したい。
クラッチワイヤーの遊び調整を行いつつ、アジャストボルトの切り欠きをずらしておく。切り欠きは上に向けると水が侵入するので、なるべく下方向に向ける。
クラッチワイヤーの調整を行ったら、ハンドルを左右フルロックまで切って、クラッチの繋がり具合やワイヤーの引っ掛かりが無いか確認しておく。